Challenges and Solutions in Provision of Health Services to People With Disabilities During Mass Gatherings.
Authors: Dehghani A, Behmenshpour F, Anami S, Masoumi G, Eskandari Z
Journal: Public health challenges
mental health
psychology
open access
Abstract
心配(Worry)はネガティブな結果になりうる問題についての問題解決のために生じる比較的制御不能なネガティブ感情を伴う思考の連鎖であり(), 専ら言語的に生じる()。心配は全般性不安症(Generalized anxiety disorder)の発症と維持を説明する心理的メカニズムとして長年注目されてきた。Borkovecら()が提唱した心配の認知的回避理論(Cognitive avoidance theory)はその代表的な理論であり, 心配は将来の脅威を防ぐために, あるいは将来の脅威に備えるための回避機能を有すると主張する。つまり, 起こりうる事象についてあらかじめ心配をしておくことで, その事象が実際に起こるのを避けられる, あるいはその事象に備えられるかもしれない。認知的回避理論は, 心配することで不安な事象についてのイメージとそのイメージに伴う生理的反応や情動反応を低減できるとしている。イメージは言語的な思考よりも強い情動を喚起することが知られている()。したがって, とりわけ言語的な心配は負の強化を受ける。さらに, 不安症の治療に必要となるネガティブ情動や身体感覚へ曝露する機会が妨げられるため, 心配が持続することとなる。 認知的回避理論に反して, 心配はむしろ生理的反応とネガティブな情動反応を増幅させることを示す実証的なエビデンスが蓄積されてきた(例えば, )。コントラスト回避モデル(Contrast avoidance model; )は, これらのエビデンスを受けて, 認知的回避理論の修正として提出されたものである。認知的回避理論が心配をネガティブ情動の低減効果を持つ回避プロセスであるとみなす一方で, コントラスト回避モデルは心配を, リラックス状態やニュートラル状態, あるいはポジティブ情動から, ネガティブ情動への急激なシフトを回避するために生じるとみなしている。全般性不安症の個人は, 何らかの出来事によってネガティブ情動が急に生じることを恐れており, それを防ぐために, 常にネガティブな状態に居続けようとする。あらかじめ心配をして悪い事態を想定しておけば, 現在の気分がネガティブになったとしても, 将来的に起こりうるネガティブ情動への急激なシフトを回避することができる。実証的研究は, 事前の心配があらかじめ生理的反応とネガティブ情動を引き起こし, ネガティブな映像の視聴やストレスイベントの経験時に生じるはずの急激な生理的反応とネガティブ情動へのシフトを防ぐことを示している(; ; , )。 本研究の目的は, 個人のコントラスト回避傾向を測定するための自記式質問紙であるContrast Avoidance Questionnaire(以下, CAQ とする;)の日本語版を作成することである。CAQ には, 心配に焦点を当てたバージョンであるContrast Avoidance Questionnaire-Worry(以下, CAQ-Wとする)と, より広範なネガティブ気分を対象としたバージョンであるContrast Avoidance Questionnaire-General Emotion(以下, CAQ-GEとする)があり, 本研究ではその両方について日本語版の開発を試みる。CAQの原版は3つの原則()に沿って開発されている。第一の原則は, 全般性不安症の個人はネガティブな情動への急激な変化に脅威を感じることである。第二の原則は, 全般性不安症の個人はネガティブな情動とのコントラストを避けるために, 心配によってネガティブな情動を作り出し, 維持することである。このメカニズムはネガティブ情動への急激なシフトという結果事象を避けるための負の強化によって説明される。第三の原則は, 全般性不安症の個人は安静時のポジティブな状態を不快に感じる一方, 一過性のポジティブな状態は回避しないということである。このメカニズムは正の強化によって説明される()。仮に, ポジティブな状態に居続けた場合, ポジティブな結果や出来事が生じたとしてもそのコントラストは大きくない。ところが, ネガティブな結果をあらかじめ予測しておけば, いざポジティブな結果が得られると大きなコントラストが生じ, 気分に最大の恩恵を受けることができる。この原則は, 全般性不安症の個人が一過性のポジティブな状態を楽しむために, 心配を続けることを意味する。